元九州大学大学院教員▶総合型・推薦型・編入コンサルタントのヨコガワです。
当塾では、総合型や推薦型選抜での大学受験をオススメしています。
今日はその理由をお話しします。
総合型、推薦型選抜の正しい理解
もしかしたら、
総合型選抜や学校推薦型選抜というと、
高校までに誰にでも自慢できるほどのすごい実績や活動が必要と思ってらっしゃる方もいるかもしれませんね。
一時期(AO入試時代)、
芸能人が大学入試でこれらの制度を使って入学したことから、
「一芸入試」
なんて呼ばれたこともありました。
今でもときどき見かけます。
でも、そうじゃありません。
これらの入試は、筆記試験(学力テスト)で測れるいわゆる「認知(的)能力」※だけで評価するのではなく、
それ以外の「非認知(的)能力」※で評価しようというものです。
※
認知(的)能力:記憶力、計算力、理解力などの学力テストやIQテストで測ることができる能力
非認知(的)能:意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力などをまとめてこう呼ぶ。非認知能力の高さが学歴や雇用、収入に影響することが明らかになっている。集団での行動の中での困難や失敗、挫折などの経験を通して養われるものが多い。
これからは認知能力より非認知能力が評価される時代
では、なぜ非認知(的)能力で評価するのかというと、
これからの社会で活躍するためには、認知(的)能力より
非認知(的)能力の方が重要と考えられているからです。
20世紀や21世紀初頭までは工業社会で、
工業製品を作り、流通させることが経済の主流でした。
そのため、社会では、ものごとを早く正確にできる人が重宝されたのです。
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21世紀になって情報化社会が始まり、
機械やAIなどが発達したことで、
早く正確にする作業を
人より得意な機械やコンピューターがするようになってきました。
これが
「AIに仕事を奪われる社会になる」
のように言われる理由ですね。
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ですから、今まで頭が良いとされていた
ものごとをたくさん覚えていたり、計算が早く正確にできる
ということだけでは
社会で活躍することが難しいと考えられています。
日々、スマホやパソコンを使っていればわかりますよね。
わからないことがあれば、
インターネットで検索すればだいたいの情報がわかるし、
計算は複雑なものであればあるほど、計算機(コンピューター)の方が早いし正確ですよね。
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これからの社会で活躍する人=考えることができる人
では、どういう人が活躍できるかというと、
これらの機械ではできないこと
つまり、
「考えること」
ができる人が活躍することになります。
実際に大学のアドミッションポリシーを見てみると、
例えば東京大学は
1877年に創立された我が国最初の国立大学である東京大学は,国内外の様々な分野で指導的役割を果たしうる「世界的視野をもった市民的エリート」(東京大学憲章)を育成することが,社会から負託された自らの使命であると考えています。このような使命のもとで本学が目指すのは,自国の歴史や文化に深い理解を示すとともに,国際的な広い視野を持ち,高度な専門知識を基盤に,問題を発見し,解決する意欲と能力を備え,市民としての公共的な責任を引き受けながら,強靭な開拓者精神を発揮して,自ら考え,行動できる人材の育成です。
東京大学アドミッションポリシー(一部抜粋)
のように、書かれています。
太字部分が、
機械やAIではできない、「考える」ことが重要な部分です。
これらの入試で志望理由書を提出するたった1つの理由
ではなぜ、総合型や推薦型選抜でそれらの能力を測ることができるかというと、
「志望理由書」あるいは「自己推薦書」、「エントリーシート」
のような自己PR書類を見れば、考える力があるかどうかがわかるからなのです。
これらを書くためには、
これまでしてきたたくさんの経験を思い出し、
その中から自分が大学で学ぶのにアピールできる能力や経験を抽出し、
論理的に話を整理すること、
そして、
志望大学の特徴や行われている研究をきちんと理解し、
自分の興味との接点を
論理的に説明する
ことが必要です。
ちなみに志望大学の特徴というのはもちろん偏差値や就職先ではありませんよ。
これらの過程を通して、
本当の意味での「考える」ことができます。
考えていない志望理由書は見ればすぐにわかります。
良く言われることですが、「書く」ことは「考える」ことなのです。
だから、志望理由書(自己推薦書、エントリーシート)を提出するのです。
しかも、制限時間のあるテストという形ではなく、
自宅で時間をかけて作成できるようにしてあるのにも理由があります。
高校生までは授業を受けてそれを吸収することばかりで、
「考える」ことをしていません。
考えていると思っていてもそれは表面的です。
答えがある問題を解くだけでは、たいして考えたことにはなりません。
深く考える経験をしなければいつまでたっても考えることはできません。
それは私自身の経験からも言えますし、いろんな大人を見ていてもそう思います。
もちろん、添削をしていると常々感じます。
そして、考えることで、非認知能力も上がってきます。
当塾では、このような力を「新」学力と呼んでいます。
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本当の「考える」体験をすると・・・
添削するために私に最初に提出された志望理由書は、考えて書かれていないことがすぐにわかります。
これは、保護者の方や、高校教師、塾講師のチェックを受けたものでも、ほとんど同じレベルです。
しかし、本質的な弱点を指摘し、考えるように促してあげると、
高校生であっても、きちんと考えるようになります。
そして、志望理由書が完成したとき、
最初に提出した志望理由書を自分で見直してみると
「とても恥ずかしい」
という人が多いです。
「考えて書いてなかった」
「考えてたつもりだった」
というのが、
本当に考えたことで、
考えるとはどういうことなのかがわかるからなのです。
視界がひらけて、同じものを見ても、全く別の世界が見えるようになったのです。
ですから、当塾では、
これらの入試の受験を推奨し、
志望理由書を書くことで、
受験生自身の身の回りにある問題を見つけ、
これを解決するために深く考え、行動するためにどうすれば良いか、
を考える教育をしています。
ですから、一般的な塾と違い、大学入試に合格するための教育ではなく、
大学は通過点という立場で、
志望理由書を書くことで「考える」ということを体験し、
将来に役立つ「書く」ことを重視した教育を行っています。
また、書くことを目的にすると、読む力も上がってきます。
そうすると、問題文を読んだときにどういう解答を求められているのかがわかった上で答えを導くので、結果的に偏差値もアップします。
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